男性管理栄養士の目線で

栄養学・料理・アウトドア

減塩食とそのポイント

みなさんこんにちは、やーまんです。

 

最近飲み会に参加する事が多く、ブログの更新を怠っておりました....

 

ところで、飲み会でのおつまみって味付けの濃いものや、脂が多い食品・メニューが多いですよね。(病院勤めで普段から減塩食を食べている私にとっては、つらいです・・・)

高塩分の食事が続くと、高血圧を引き起こしたり脳や心臓を始めとした各種血管疾患になると言われています。

また、高脂質な食事が続くと、血液がドロドロになり脂質異常症という診断が付きます。

こういった日本人の医療費増加の原因の一つにもなっている生活習慣病の多くは、近代の食品・食生活・食文化の変化からきていると言われています。

 

前置きが長くなりましたが、今日は様々な生活習慣病の予防や治療に必要な、減塩について記事にしたいと思います。

 

まず....減塩食、という言葉がありますが、皆様は実際にどれくらいの塩分量の事を指すかご存知でしょうか?

 

はい、答えとしては減塩食とは、「1日6.0g未満の食事」と定義されています。

ただし、6.0gと聞いて、ピンと来ない方が数多くいらっしゃると思います。

日本人の塩分摂取量は、平均10.4g(厚生労働省平成24年国民健康•栄養調査結果より)と言われていますので、イメージとしては通常の半分程度に塩分を減らしていく、というような形になります。

 

また、先述した通り減塩食とは、「1日6.0g未満の塩分の食事」ですので、1日3食食べる場合は1食当たりの塩分量の目安は2.0gずつ、が基本となります。

 

 

減塩は様々な方法で進めていくことが出来ますので、自分にあった方法を見つける事が重要です。

 

まずはどのような減塩の方法があるか、代表的なものを挙げていきます。

 

①塩やその他の調味料の使い方を工夫する
②漬物や汁物の量に気を付ける
③タレ・ソース類はかけずに“つける”
④塩味以外の“風味”を効かせてメリハリをつける
⑤減塩食品の活用

などがあります。

 

①塩やその他の調味料の使い方を工夫する

焼き魚などを作るとき、振り塩をしてから焼くと、塩分が中に浸透し、実際に食べるとあまり塩分を感じなくなります。
食べる時にさらに塩を振ったり醤油をかけたりすると、摂った塩分も倍増してしまいます。
このような場合は、調理の際には塩を使わず、食べる時に少しだけ使用することで、少量でも十分な塩味を感じます。

 

②漬物や汁物の量に気を付ける

麺類を食べる時も汁やスープは飲まずに残すことで含まれる塩分をカットできます。

 

③タレ・ソース類はかけずに“つける”

また、刺身やフライを食べる時は、醤油やソースは“かけない”ことです。
小皿に取って“つける”だけで、味はほぼ同じなのに使用する調味料は少なくて済みます。

 

④塩味以外の“風味”を効かせてメリハリをつける

味付けの仕方については、薄味を感じにくくさせる工夫があります。
塩を抑えた分、“酸味(レモンやお酢)・香辛料(スパイス)・うま味(ダシの風味)・油分(マヨネーズなど)”を加えることで減塩になるだけでなく味にメリハリがつき、一石二鳥です。
特にマヨネーズは濃い目の味わいの割に塩分量が少ないため、炒めものや和え物に使用すれば、調味料の使用がぐんと抑えられます(コレステロール等には注意が必要です)。

 

⑤減塩食品の活用

⑤の減塩食品につきましては、現在非常に多くの減塩調味料が市販されています。
減塩醤油や減塩味噌、減塩タイプのダシの素など、使用料は通常通りで味わいも遜色ないのに塩分が約50%OFFなど、高血圧の食事療法には欠かせないものとなっております。
(一般調味料の食塩量や減塩調味料の塩分量等については、別表も併せてご参照ください。)

 

【一般的な調味料類の塩分量(食塩相当量)】単位:g

  100gあたり 大さじ1 小さじ1
食塩 99.1 17.8 5.9
濃口醤油 14.5 2.6 0.9
薄口醤油 16 2.9 1
味噌 12.4 2.2 0.7
ウスターソース 8.4 1.5 0.5
とんかつソース 5.6 1 0.3
めんつゆ(3倍濃縮) 9.9 1.8 0.6
めんつゆ(ストレート) 3.3 0.6 0.2
ドレッシング(油分有) 3 0.5 0.2
ドレッシング(ノンオイル) 7.4 1.3 0.4
トマトケチャップ 3.3 0.5 0.2
練りワサビ 6.1 0.9 0.3
マヨネーズ 1.8 0.2 0.07
コンソメ(固形・顆粒) 43.2 7.8 2.6
だしの素 40.6 7.3 2.4
カレールウ 10.7 1.9 0.6
バターー(有塩) 1.9 0.2 0.07

※これら調味料を料理に使用する際、大さじや小さじを使用することを習慣にすれば大体の塩分量の目安となります。
→例えば、冷奴やお浸しなどにかける醤油は、常に小さじで半分などと決めれば塩分量が明確です。

※ソースやドレッシングなど、タイプが違うだけで随分塩分量が変わってくる点は見逃せません。
普段ウスターソースを使用している場合は、とんかつソースに変えるだけで塩分約30%カットです。

※マヨネーズの塩分量の低さは注目したい点です。
しっかりした味や風味の割に低塩のため、調味料としてさまざまに使用していただきたいです。

上記に挙げている調味料のうち、普段よく使用する醤油や味噌、ソース、だしの素系には『減塩タイプ』のものが市販されています。
減塩を実行するにあたり、一通り揃えておくことをおススメいたします。

 

【市販の減塩調味料のご紹介】単位:g

メーカー 商品名 100g塩分量 大さじ1 小さじ1
味の素 やさしお 46 8.3 2.8
キッコーマン 減塩丸大豆醤油 8.16 1.5 0.5
味の素 お塩控えめのほんだし 21 3.8 1.3
味の素 コンソメ 塩分控えめ 26.4 4.8 1.6
味の素 丸鶏ガラスープ塩分控えめ 28 5 1.7
カゴメ トマトケチャップ 熟つぶ 1.6 0.2 0.07
デルモンテ ケチャップ・ハーフ 1.4 0.2 0.07
キッコーマン 減塩デリシャス中濃ソース 2.3 0.4 0.1
ブルドッグ 塩分50%カット中濃ソース 2.9 0.5 0.2
タケヤ 減塩みそ 5.2 0.9 0.3
ヤマキ 減塩だしつゆ(3倍) 5.3 1 0.3

※減塩タイプの調味料は、上記のような減塩ではないタイプと比較し塩分50%カットという仕様のものが多いようです。
減塩生活の強い味方と言えそうです。

※特に味の素社の“やさしお”は、減塩した分のナトリウム量をカリウムに置き換えているため血圧降下に効果的なカリウム摂取にも一役買うといえるでしょう。
食事療法の調理については、『量る』ことが面倒だと言われます。
この点については、計量スプーンを活用することで大部分が解消され、塩分量の目安も立てやすく、おススメしたい方法です。

普段よく使う調味料の大さじ・小さじ1杯あたりの食塩含量を把握し、表などにして活用すればとても簡単です。
(別表をご参照ください。)

 

【食塩を多く含む食品について】

減塩対策として、日々の食事・調理におけるポイントなどを述べてまいりましたが、外食やインスタント食品・加工食品など、塩分量の見えにくい食品は多々あります。

仕事柄、外食が外せない場合などでも塩分量は常に意識しなくてはなりません。
概ね外食メニューには多くの塩分が含まれています。

例えばラーメンやソバなどには約5-6gもの食塩が含まれています。丼ものでは約4gです。
これらを1食食べただけで、一日の約半分の塩分を摂ってしまったことになります。

また、加工食品やインスタント食品も要注意です。
特にインスタントラーメンには1食あたり6g近くの塩分が含まれます。
漬物類は4-5g、魚肉練り製品やハム・ソーセージ類は2-3g(100gあたり)となっています。

この数字だけ見るとあまりピンときませんが、『一日10g』を考えるといかに高い数値か実感できると思います。
(別表をご参照ください。)

【料理(外食)・加工食品類の塩分量】単位:g
※1食・1人前あたりでの塩分量です。

 

料理・食品名 塩分量
そば(温かいもの) 6
ざるそば 3
ラーメン(醤油) 5
かつ丼 4.5
天丼 4
魚の塩焼き 1.5
カレー(ルウのみ) 3
ハンバーグ 4
塩サケ(1切れ) 4.5
ロースハム1枚(20g) 0.6
食パン1枚 0.8
きゅうりのぬか漬け 30g 1.5
即席カップめん(85g) 5.9

※外食は極力避けたいところですが、表を参考に大体でも塩分量のイメージができることが理想です。

※インスタント食品については、避けることが可能です。
これらは塩分が多い・塩分を摂りすぎている という自覚に乏しい傾向があり、高血圧の方の食生活にとってマイナス点が多いです。

特にカップめんには“リン”という物質が多く含まれ、マグネシウムの吸収を阻害する特徴があります。
高血圧の方には必須のマグネシウムですから、この点からも極力避けたい食品であると言えます。

 

一般的には1人あたり1日約10~11gの塩分を摂取しているところから、6.0g未満まで抑えるというのはやはり大変です。誰しも、最初は食事の味付けが物足りない!と思いがちです。

しかし薄味に慣れると、普段は塩分の濃さに紛れてしまっていて気づきにくい、「本来食品が持つ味」が分かるようになってきて、いろんな食味を楽しみながら食事ができるようになってくるはずです(ちなみに私は病院に入職し、普段から減塩食を食べるようになり半年程で薄味に慣れました)。

 

身体の健康を守りながら、色んな食味に触れ、楽しみながら減塩を進めていきましょう!