男性管理栄養士の目線で

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<知っていますか>二日酔いの正体とは!

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こんにちは、やーまんです。

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10月も半ばを迎え、めっきり寒くなってきましたね。

ビアガーデンの季節も終り、忘年会シーズンまでしばらくは肝臓を休める期間が作れそうです。

今年の夏も、凝りもせず何度も二日酔いになり、休日を無駄な1日と化してしまう事がありました・・・。

忘年会シーズンはその様な事を起こさない為、決意新たに、二日酔い対策を管理栄養士の視点から考察し、まとめようと思います。

 

まず、そもそも「酔い」とはどのような状態かというところから。

酔いとは、アルコールによる脳の麻痺です。

お酒を飲むとアルコールは胃から20%、腸から80%が吸収されて血中に運ばれます。血中に入ったアルコールは肝臓で分解されます。アルコールはまずアセトアルデヒドになり、最終的には無毒化されて無害な酢酸に分解されます。

血中に溶け込んだアルコールは、肝臓で分解・代謝されるまで全身を循環し、血中アルコール濃度の上昇と共に脳を麻痺させます。人間の意識や精神活動などの理性をつかさどる大脳皮質のコントロールを麻痺させ、酔いが進むにつれ、思考力・判断力が鈍くなり、多幸感・自信過剰・寛大など感情はあらわになっていきます。

アルコールは脳を麻痺させることで酔った状態を作り出します。軽い麻痺で精神の抑制が解かれ、興奮状態が表面化することが酔いの正体です。アルコールの摂取を続けて呼吸中枢のある延髄まで麻痺が進むと、呼吸が止まり命に係わる事態となります。

 

アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されますが、アセトアルデヒドは毒性の強い物質として知られています。アセトアルデヒドは次にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により無害な酢酸に分解されるのですが、この工程がスムーズにいかないと、アセトアルデヒドが代謝されずにとどまり、血中濃度が高くなります。

血中濃度が高くなり過ぎれば、赤面・吐き気・頭痛・脈拍上昇などの症状を起こし、「悪酔い」状態となります。

 

二日酔いの主な症状は5つ

①吐き気

二日酔いでつらいのが、吐き気と嘔吐です。原因は色々考えられます。アルコールには利尿作用があるため、飲酒により摂取した以上の水分が失われるのです。脱水症状により吐き気が起こります。また、体内に残ったアセトアルデヒドのせいで吐き気が起こることも多いです。

アルコールは胃の活動を活発化するので胃酸が過剰に分泌されます。胃酸過多による胃腸の不調、吐き気などを起こします。さらにワイン・テキーラ・ブランデーなど原材料が果実のお酒の飲みすぎによる二日酔いはメタノールが原因とみられますが、吐き気を伴うことがあります。

 

②頭痛

二日酔いでつらいもう一つの症状は頭痛です。アルコールが肝臓で分解されてできたアセトアルデヒドは頭痛を引き起こします。そもそもアルコールは、血管を拡張します。それがズキズキという頭痛をもたらします。脱水が脳にも影響すると脳に加わる圧力が変化して頭痛を起こし、酸素不足も頭痛を助長します。

また、日本酒に含まれるアデノシンという成分には、リラックス・血管拡張・血行促進という効果がありますが、この血管拡張作用が頭痛に繋がります。メタノールを含むアルコール(ワイン・テキーラ・ブランデーなど)は肝臓でホルムアルデヒドに分解されるので頭痛などを起こします。

 

③食欲不振・下痢

アルコールの持つ利尿作用により、摂取したアルコール以上の水分が身体から失われるために、脱水症状が起こります。脱水は頭痛や吐き気、食欲不振を起こします。また、アルコールにより活動的になった胃が胃酸を盛んに分泌すると、かえって胃がますます疲れるので食欲が減退します。

脱水に続く胃酸過多で、胃腸はバランスが崩れています。アルコールと酔いに任せて脂っこい揚げ物やよく噛まずに飲み込まれた食べ物などは、食べ過ぎも相まって消化不良を起こし下痢になることもあります。

 

④倦怠感

何をするにもだるくて億劫になるというのも二日酔いの症状です。成人の身体は約60%が水分で出来ていると言われていますが、脱水症状になっていれば、身体中の水分が足りていない状態になりますから、ある意味当然の症状です。

酸素不足もだるさをもたらします。また、肝臓はアルコールの分解を最優先させるために、血中の糖質を使ってしまいます。しかも肝臓は糖の生産は後回しにするので、糖がだんだんと不足してきます。この低血糖状態が、「ラーメン食べたい」「コンビニでスイーツ買って帰ろう」に繋がります。

低血糖状態を改善しようと、脳が糖質を渇望し、炭水化物や糖質を求めてしまうのです。食べてしまえばカロリーオーバーになるでしょう。食べなければ、つまり翌日は低血糖状態、だるくなる事が多いというわけです。

 

⑤筋肉痛

低血糖症状は筋肉痛ももたらします。肝臓がアルコール分解で手一杯になっている間、糖(グリコーゲン)が不足しますが、優先順位として、脳を動かすことが優先され筋肉を動かすことは後回しになります。筋肉を動かすにも糖が必要なので、不足すると筋肉痛などの影響が出てしまうのです。

 

いかがでしたか?適度なお酒の量の飲み会は楽しいですが、飲みすぎは危険がいっぱいですね。お酒の席での失敗談もよく聞きますが、それまでの信頼を失ってしまうことにも繋がりかねません。程々にしておきましょう(自分にも言い聞かせています)。

 

二日酔いを早く治すための食事・健康食品や水分の摂り方については、次回の記事にしたいと思います。

それでは。

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