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男性管理栄養士の目線で

栄養学・料理・アウトドア

野菜ジュースは野菜の代わりになる??

栄養学

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こんにちは、やーまんです。

 

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今回は、栄養指導時にも患者様からよくご質問される、「野菜の代わりとして野菜ジュースを飲んでもいいのか」という点について記事にしていきたいと思います。

 

1日分の野菜が含まれています、などと言った謳い文句等もあり、「野菜ジュースは何となく体に良さそう」という世間一般のイメージもあれば、「野菜ジュースは飲んでも意味がない」という識者の意見もあります。今回はこの2点を踏まえて私独自の意見を述べていきます。

 

野菜ジュースを飲んでも効果がないと言われる一般的な理由は主に以下の2つです。

①ビタミンCが熱によって失われる
②不溶性食物繊維がほとんど含まれていない

 

また上記に加え、私が野菜ジュースについて、栄養指導時に患者様に注意を促す事は、

③糖質が多く入っている商品が多い

④ワーファリン(血液サラサラ薬)の効果を打ち消す危険性がある

という事です。

上記4点について、考察していきます。

 

①ビタミンCが熱によって失われる

本来、野菜や果物にはビタミンCが豊富に含まれるのですが、
野菜ジュースにする過程で高温で熱するため、熱に弱いビタミンCは失われてしまいます。

※ビタミンには熱に弱い水溶性ビタミンと熱に強い脂溶性ビタミンが存在しますが、本来野菜から豊富に摂取できる水溶性ビタミンはビタミンCが主なので、ここではビタミンCを挙げています。

ビタミンCは“美肌効果”や“アンチエイジング効果”など担っていますが、
もしビタミンCが不足すると以下の健康被害が生じます。

・壊血病
・歯茎、皮下の出血
・骨の形成不全


しかし!

実はビタミンCが野菜ジュースから摂取できないことはそれほど問題ではありません。
理由は以下の2点。

・ビタミンCは通常の一般的な食事で十分摂取できている
・ビタミンCが摂取できる野菜ジュースもある
現在の一般的な食生活においてビタミンCの摂取はそれほど難しくなく、
『国民健康・栄養調査』を参照すると、“通常の食事でビタミンCは十分に摂取できている”という状況です。※一日のビタミンC推奨摂取量は100mg以上

 

また、野菜ジュースによっては熱したあとにビタミンCを添加しているため、
きちんとビタミンCを摂取できるものもあります。

例)野菜生活100 フルーティーサラダ

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1パックのビタミンC含有量:100~260mg

ビタミンCの失活の観点で野菜ジュースを否定している記事をよく見かけるので、
一応私なりに反論してみました。

 

それでですね、
本当に問題なのは次なのです。

 

②不溶性食物繊維がほとんど含まれていない

野菜ジュースを飲む目的の一つに、
「何となく食物繊維が摂取できそう」というものが含まれると思います。

 

実際の所は、食物繊維の一日の推奨摂取量は20~25gですが、
現実には日本人は平均15g程度しか摂れていません。

そうするとこれは大きな問題です。

 

また、食物繊維の量だけではなく、
種類においても問題があります。

食物繊維は2種類あります。

・水に溶けやすい水溶性食物繊維
・水に溶けにくい不溶性食物繊維


これらはバランス良く(水溶性:不溶性=1:2)摂取しないといけないのですが、

野菜ジュースには不溶性食物繊維はほとんど含まれていません。

そして、水溶性食物繊維ばかりを摂り過ぎると、
“下痢”や“重要な栄養素(ビタミン・ミネラル)の排出”などの健康被害が起こります。

なので、例え野菜ジュースから食物繊維が多く摂取できたとしても、
実際に野菜を食べないと不溶性食物繊維が摂取できないので健康を害するということです。

 

あとですね、
そもそも野菜は本来、不溶性食物繊維の方が豊富なのです。

だから、例え『1日分の野菜』という謳い文句でも、
野菜ジュースに含まれる食物繊維の総量(ほぼ水溶性)は少ないんです。

 

・・・・と、

ここまでの説明なら他のサイトでもよく見かけますが、
何とも抽象的でイメージしにくいですよね。

なので、実際に野菜ジュースに含まれる食物繊維の量を例に出してみましょう。

 

野菜ジュースの食物繊維含有量

伊藤園 せんい質野菜

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・エネルギー:69Kcal
食物繊維含有量(1パック):10.0~12.5g

 

カゴメ ジューシィビタミンC

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・エネルギー:73Kcal
食物繊維含有量(1パック):4.2g

 

カゴメ 野菜生活100 30品目の野菜と果実

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・エネルギー:74Kcal
食物繊維含有量(1パック):3.1g

 

以上、食物繊維の多い野菜ジュースを挙げました。

これらは“例外的に”多く食物繊維を含んでいますが、
この他に野菜ジュースはいろいろあり、大半が0.1~2.0g程度です。

『1日分の野菜』は、
食物繊維だけを見ると、“1/10日分の食物繊維”なわけです・・・。

一日の推奨量20~25gということからこれが少ないことはお分かり頂けるかと思います。

 

③糖質が多く入っている商品が多い

糖質の摂り過ぎは、血糖値の過剰な上昇や、中性脂肪値の増加を招きます。

 

多くの野菜ジュースは野菜特有の青臭さやエグ味を打ち消すため、リンゴや柑橘系の果物を配合していまが、果物の糖度は高いので、厳格に糖質制限を進めたい方は敬遠すべきでしょう。

糖質の高い果物(100g中10g以上の糖質がある)には、はっさく、梨、いよかん、うんしゅうみかん、ネーブル、パイナップル、いちじく、洋梨、リンゴ、キウイフルーツさくらんぼ、柿、ブドウ、バナナ等があります。

 

また、野菜オンリーの製品でもニンジンを主だった原材料としているものは比較的糖質が高いです。100g中5g以上の糖質を含む野菜には、タマネギ、ニンジン、パセリ、ブロッコリーがあります。

タマネギ以外は野菜ジュースに含まれる主立った野菜ですので、こうした原材料の配合率とジュース全体の糖質をチェックした方が無難です。

 

④ワーファリン(血液サラサラ薬)の効果を打ち消す危険性がある

ワーファリンとは、血栓の生成を防ぐ為、血液の凝固を抑制するお薬です。

ワーファリンを処方される場合、まず初めに医師もしくは薬剤師から、「納豆・青汁・クロレラは食べないようにして下さい」と注意喚起されます。

これは、納豆・青汁・クロレラに含まれる「ビタミンK」という栄養素を過剰に摂ると、ワーファリンの効果を打ち消してしまう事によります。

 

このビタミンKですが、実は多くの野菜にも含まれています。野菜の中でも特に、緑黄色野菜は比較的豊富にビタミンKを含んでいます。

通常、例えばほうれん草や小松菜などをお浸しや和え物で小鉢や中鉢程度食べる分にはワーファリンに影響を及ぼさないとされています。

しかし、緑黄色野菜の多い野菜ジュースでは、ビタミンKが多く入っているものもあり、注意が必要です。

 

 

いかがでしたでしょうか。

結論としては、
①ビタミンCは通常の食事で摂取できる

②不溶性食物繊維がほとんど含まれていない(水溶性のみだと下痢になりやすい)

③果物等の糖質が多く入っている商品が多い

④ワーファリンを飲んでいる時は、商品によっては薬効が落ちる危険性がある

 

上記4点から、野菜ジュースは野菜の代わりにはならない、というのが私の意見です。

 

加熱工程がある為、私たちが思っている以上に野菜成分の摂取はできないのですが、それでも全ての栄養素が熱により失われるわけではない為、普段野菜を食べない人・不足している人などは、野菜ジュースを飲まないよりは健康になれるかな、とは思います。

しかし、野菜ジュースを飲んでいれば、野菜を食べなくても大丈夫、というものでは無いと考えます。

 

「1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事」を心がけ、健康な身体を作っていきましょう。

それでは、今回はこの辺で。

 

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